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「わからなさを愛する」デッサン教室

更新日:4月5日






この1月から、デッサン教室を始めました。

基本的には大人向け、そして初心者の方向けのクラスです。


現在は、基礎的な形のとらえ方や、明暗の見方について学んでいます。


デッサンを描くとは、「わからなさ」と共に生きる旅路のようなものです。


世界はどのように在るのか。

 少し大袈裟に聞こえるかもしれませんが、そのあり方を自分の目で見て、再現しようとする姿勢こそが、デッサンの礎になると考えています。







教室の風景

教室では、こんなやり取りがあります。


受講者の方が言います。

「形が・・・わからない・・・。最初から描き直したいです」


私はこう答えます。

「ふむふむ。なるほど。でも、それはおすすめしません。

形が取れない、ということをまず受け止めましょう。大丈夫!すぐに形が取れなくてもいいのです。今この時点で、あなたはそうやってこのモチーフを捉えていることを確認してみましょう。まず、どこに違和感がありますか?」


「この台の部分が変です」

「どんなふうに変ですか?」

「角度が違うような気がします」

「お!いいですね。では、角度をもう一度とってみましょう。垂直に置かれている瓶を基準にしてみましょうか。そのために、まず姿勢も確認してみましょうね」



わたしの「哲学」


 では、ここで、新しい紙に描き直したとします。でもそれは、また一からのやり直しになります。それよりも、「わからなさ」を見つめ、かたちを取り直し、考えながら進めていく方がずっとよいと私は思います。

なぜか。

もしまた途中で「わからなくなったら」どうしますか。そのたびに新しい紙に描き直すことになります。それでは、いつまでも「わからなさ」と向き合うことができません。

「わからなさ」をどう考えるか。 これは実は、とても愛しいものなのではないでしょうか。

「わからない」を正しく受け止めることは見る(観る)ことを鍛えます。


その過程は、絵としては少し汚く見えるかもしれません。

けれど、最初の段階ではとても価値のある時間なのです。だんだん見る目が鍛えられれば形は正確に取れるようになると思います。それに、これはデッサンです。




 いわゆる西洋古典的なデッサンには、「表現」の要素は多くありません。

かたちを見つめ、比率や陰影を捉え、重さや質感を平面に再構成していく営みです。ドローイングやクロッキーであれば、多少の表現は投影されるでしょう。水彩や水墨や、一気に描くもの、油彩やアクリル、日本画ともだいぶ違った描き方です。

 デッサンでは「自分の表現」を一度脇に置き、かたちを真摯に追う必要があります。

その過程は、苦しく、「わからない」ことの連続です。

取り組めば取り組むほど、「完璧には描けない」と気づかされます。


 けれど、わからない、難しい、ということを一緒に考えられるところに、私はこの授業の面白さを感じています。

まずは見ること。そして、見て考えること。


 それは、単なる絵画技法ではなく、自分自身の見方を見つめ直す営みでもあると思っています。

自分の「わからなさ」を否定しなくてもいいのです。 わからないことがある、そのことこそが上達したいという思いを動かすエンジンになります。そこから、見つめる方法や技法を身につけていくことができます。

AIが数秒で出力する絵よりも、「わからなさ」と格闘したあなたの絵にこそ、確かな価値があります。(これは断言できると思う)


わからないことを楽しみたい方、一緒に学んでみませんか。

 すぐに上達することを目的とした教室ではありません。一年ほどかけて、ゆっくりと変化を育てていく場所です。少しニッチな教室ですが、必要な方に届けば嬉しいです。






追記(受験指導について)


 

 これまで高校の美術教師として、美術系大学への進学指導も行ってきました。


 複数の大学への合格実績(岩手大学、東北芸術工科大学、秋田公立美術大学、新潟大学教育学部 ほか)があります。 大学進学の指導では、「デッサン」だけでなく、面談を通じた進路の考え方をとても大切にしています。


「大学で何を学ぶのか」「どんな力を身につけたいのか」「美術を通して何をしたいのか」といったことを掘り下げていくため、どうしても時間がかかります。


 元生徒には、漫画家、広告デザイナー、出版関係など、さまざまな道に進んだ方がいます。 不登校の状態から目標を見つけ、美大に進学した生徒もいました。もちろん美術の仕事をしていない生徒もいます。でもそれでもいいのです。 できる限り手厚い支援をしたいと考えていますが、現在は、受講者一人一人がゆっくりと観察し考える時間を大切にする方針のため、短期間での受験対策(例:「数ヶ月後に東京芸大を目指す」など)は難しい状況です。美術科のある高校を受験したいとお考えの小学生・中学生の方は、早めにご相談ください。応援しています。

 


 

 
 
 

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